グランプリ

石神井の家 Pioggia e Sole

施工 : 本橋組

自宅で仕事をすることの多い建て主の要望は、「身も心も洗われるリゾート」のようで、かつ極力ランニングコストのかからない住まいだったという。設計者は、低層の家並みが続く住宅地に対して一枚の大屋根を架けたうえで、開放する部分と絞り込む部分とを明確に分けて、自然環境を取り込みながらも、周囲の日常性から一定の距離を置ける空間を提案した。
建物は、「開放できる熱容量の大きな器」として計画。次世代省エネ基準を満たす基本性能を確保しており、閉じれば高い環境性能を発揮し、開けば家の中をくまなく風が通る。
エネルギー負荷の低減と平準化を図るために、自然エネルギーや高効率設備も最大限に活用。屋根のほぼ全面を覆う太陽光発電パネルは、強い日射による熱負荷を和らげる「置き屋根」としても生かすほか、雨水を使う散水設備も備え、夏場の発電効率の低下を抑える。また、雨水利用では、2階西側のデッキに水を張り、リビングに居ながら涼感を得るという工夫も見られる。
冬場の温水床暖房には、燃料電池の排熱を利用。床材には、熱容量の大きい石材を使っている。建物全体の熱環境に片寄りが生じないように、空気循環システムも採用している。

審査講評

太陽光発電パネルを発電のためだけでなく、日射による負荷を抑えるためにも使っている。しかも、雨水でパネルの表面温度を下げる取り組みも見られ、屋根が受ける熱負荷や、太陽光発電について理解していることがわかる。
一般の環境意識は高まっているが、これほど多彩な環境手法を、住空間と融合させて採り入れた住宅は、むしろ珍しくなっている。こうした取り組みをすれば、エネルギー消費を抑えながら、開放的で心地よい住空間を創出できることを実証している点を高く評価した。

DATA

所在地 : 東京都練馬区
家族構成 : 夫婦+子ども1人
敷地面積 : 209.42m2
建築面積 : 97.20m2
延床面積 : 163.61m2
構造・階数 : S造・一部RC造、地上2階
完成 : 2010年8月
主な設備 : 家庭用燃料電池エネファーム、太陽光発電(5.6kW)

Photo : 細矢 仁、スタジオ・アーキファーム


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