2012 住空間デザイン最優秀賞

自分でつくる家

設計 ・施工: 畠山 サトル/デザイン和倶

基礎の配筋からコンクリート打設、建て方、断熱・防水工事、内外装仕上げ、そして家具・建具製作に至るまで、施工の素人である若手設計者が、妻と二人でつくり上げた平屋の自宅。一枚の屋根の下に、トンネルのように南北に通じた土間があり、西側に水回り、東側に居室を配置している。 身の回りにあり、簡単に修理・交換のできる材料を中心に使い、在来工法で組み上げた。ガラスのサッシは一枚もない。冷房はなく、暖房は一台の薪ストーブのみ。採光や通風などの環境制御には、外壁と同じつくりの雨戸と、障子戸を開閉する。開けば、限りなく外部環境に近付き、閉じれば内にこもった空間に変化する。内部の建具を操作すれば、空間構成も変えられる。
セルフビルドを着想した背景には、今の若い世代は既成品で育ち、素材からモノをつくった経験が乏しいことや、返済に長期間かかる高額な住宅ローンなどに対する素朴な疑問がある。

審査講評

自分でできる範囲とはいえ、細部まで丁寧に施工されており、従来のセルフビルドにあった素人臭い印象を払拭するような美しい空間に仕上がっている。建具の操作によって空間が内外に変化するプラン構成は、山本理顕氏の「山川山荘」を彷彿とさせるものがある。与えられた家で、住宅ローンに縛られて暮らすのではなく、自らの資力の範囲で独力でつくるという発想には、「持ち家」のあり方を再考させる発信力も感じられる。

DATA

所在地 : 京都府宮津市
家族構成 : 夫婦
敷地面積 : 389.18m2
建築面積 : 52.17m2
延床面積 : 52.17m2
構造・階数 : 木造、地上1階
完成 : 2011年9月

Photo : 大槻 夏路


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