グランプリ

向日居

設計:末光 弘和+末光 陽子/SUEP.
施工:大藪組

低い背丈の棚が広がるキウイ畑に囲まれた300坪の敷地に建つ平屋住宅。この住宅の特徴は、今回、設計者が考案し、主体構造にもなっている11個の木造ユニットにある。一つひとつの木造ユニットは、幹から枝が伸びたようなL字型の断面だが、大きさやプロポーションはすべて異なる。そんな11個の木造ユニットを4+3+3+1の4つのブロックに分けて配置。半屋外の土間空間を介してつながった各ブロックの下に、木陰のような住空間が広がる。
木造ユニットは、主体構造のほか、太陽熱の集熱、その熱を床下に送るダクト、本棚といった各機能が複合されたもので、そのまま住空間に現れている。太陽熱の集熱は、柱梁のジョイント部にある、断面が三角形の空間を利用する。鋼板屋根を介して、この空間で暖められた空気は、縦ダクトを通して床下に引き込まれる。暖気は、コンクリート基礎への蓄熱や、ペリメータ部の床吹き出し空調に使われる。一方、夏季は、屋根空間に貯まる熱気をそのまま排出する。
今回、考案した木造ユニットは、厚さ25mmのスギの集成材を、303mmピッチのリブ状に並べて、面材で一体化したもの。リブ奥行きは、本棚や飾り棚になっているほか、リズミカルに連続するリブが住空間に表情を与えている。

審査講評

環境に対するスタンスに共感した。既製の設備システムに依存するのではなく、その場所で生かせる自然エネルギーは何なのかを見極め、自然体で取り組んだ姿勢は、環境デザインのあり方として非常に好ましい。今回、考案した木造ユニットが、構造体と熱環境システム、プランニングなどを一体化させ、住空間としてそのまま表現されているだけでも十分に評価に値するが、さらに材料調達や製作、施工にまで踏み込んで計画が練られている。設計の本質を追求したグランプリにふさわしい作品である。

DATA

所在地:福岡県八女市
家族構成:母+夫婦+子ども3 人
敷地面積:1022.98m2
建築面積:129.18m2
延床面積:126.36m2
構造・階数:木造、地上1 階
完成:2012 年4 月
主な設備:太陽熱集熱利用床暖房

Photo:中村 絵/イクマサトシ


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