2015 優秀賞

食堂付きアパート

設計:仲俊治+宇野悠里/仲建築設計スタジオ
施工:小川建設

5 戸のSOHO 住戸と、シェアオフィス、食堂から成る街中の小さな複合建築。建物を巡る共用廊下を「立体路地」と位置付け、住戸内のスタジオなどの中間領域を介して、パブリックとプライベートとが互いににじみ出ながらつながる関係を創出している。誰でも利用できる食堂は、このアパートと街とをつなぐ中間領域で、住人のダイニングや、シェアオフィスの打ち合わせスペースとしても使われる。下町の風情が残る一方、開発の気配が漂う街中で、食堂や賃貸住宅という「小さな経済」をテコに、地域コミュニティを育む環境をつくっている。

審査講評

街の人たちも利用できる食堂を媒介に、住人同士、アパートと街とをつなぐ場を、ソフトとハードの両面から解いた企画を評価したい。シェアハウスのダイニングを街に開き、個々のプライバシーを高めた感じか。住人同士の関係性や、都市のあり方、住まい方に一石を投じている。企画から運営までオーナーも積極的で、今後の動向にも注目したい。

DATA

所在地:東京都目黒区
家族構成:単身~ 2人(想定)
敷地面積:139.89m2
建築面積:97.56m2
延床面積:261.13m2
住戸面積:24 ~ 42m2(5 戸)
構造・階数:鉄骨造・一部鉄筋コンクリート造、地下1階・地上3階
完成:2014年3月

photo(外観、路地):仲建築設計スタジオ
photo(室内):鳥村鋼一


広島の小屋

設計:谷尻誠+吉田愛/ suppose design office
施工:アルフ

のどかな田園風景の一部であるような透き通った小住宅。小高い丘のように地盤をかさ上げして、基礎から立ち上げた厚さ40 ㎜のアクリル板に薄い屋根を載せている。透明なアクリル板は、開口部と外壁と構造を兼ねる。キッチンなどの水回りや、寝室、子ども部屋など雑多になりがちな生活スペースは、床面から一段下げたところに分散して配置してあり、外部からは見えない。内部は、エキスパンドメタルで緩やかに仕切られている。

審査講評

構造や環境性能などを同時に満たすアクリル板の使い方を含め、隅々まで丁寧に検討された革新的な提案と言える。深い庇にも、スタディを重ねて獲得した絶妙なディテールが見られる。当初は不安もあったが、アクリル板の使い方は予想以上にうまくいっており、建て主の暮らしも楽しそうだった。要求性能が増すに連れて“厚着”になっていく現代住宅と対極の提案と見ることもできる。

DATA

所在地:広島県安芸高田市
家族構成:夫婦+子ども1人
敷地面積:490.0m2
建築面積:100.0m2
延床面積:81.0m2
構造・階数:鉄骨造、地上1階
完成:2014年5月
主な設備:太陽熱暖房、エコジョーズ、ガス温水床暖房、温水ラジエーター

photo:矢野紀行


花畑団地27号棟プロジェクト

設計:藤田雄介/ Camp Design、山設計工房、都市再生機構
施工:江州建設

築40年以上になる公団住宅のボックス住棟を、全面改修したプロジェクト。各住戸の異なる位置で、古いサッシを撤去したあとの開口部を残して減築し、半屋外のルームテラスを設けた。サッシは、複層ガラスの木製サッシに入れ替えて断熱性能を向上。ルームテラスと木製サッシとが、団地という均質な建物にリズムと暖かみのある表情を与えている。高度経済成長期に量産された公団住宅のストック活用も見据えて実施された団地再生デザインコンペの最優秀賞に基づき改修された。

審査講評

集合住宅の改修で、開口部を入れ替えて断熱性能の向上させている。しかも、限られた住戸面積でありながら減築に踏み切り、半屋外の空間をつくることで、豊かな住空間に再生している。断熱性能を上げれば、減築で室内は小さくなっても実効床面積は大きくなる。集合住宅の再生のお手本として評価したい。

DATA

所在地:東京都足立区
家族構成:単身、夫婦、夫婦+子ども1人(想定)
敷地面積:1322.31m2
建築面積:170.66m2
延床面積:669.92m2
住戸面積:39.07 ~ 40.95m2(10戸)
構造・階数:鉄筋コンクリート造、地上5階
改修年月:2014年2月(当初完成 : 1966年)
主な設備:太陽光発電、太陽熱温水システム、エコジョーズ
※エレベータ棟・自転車置き場を含む面積

photo:kentahasegawa


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