2015 入賞

アキシマのいえ

設計:小林進一/ コバヤシ401.Design room
施工:栄伸建設

審査講評

建物を持ち上げることで、通風や採光を確保しつつ、高齢の夫婦の暮らしがワンフロアで完結する住宅をつくっている点は評価したい。残った地表面に余計な手を加えず、猫が住んでいるような半ば放ったらかしの空間にしていることにも好感が持てる。

DATA

所在地:東京都昭島市
家族構成:夫婦
敷地面積:146.32m2
建築面積:99.04m2
延床面積:89.01m2
構造・階数:木造・一部鉄骨造、地上1階
完成:2012年4月
主な設備:エコジョーズ、浴室暖房乾燥機

隣家が迫る敷地で、十分な通風や光が得られる平屋を実現するために、既存の地面より1.3m ほど高いレベルに建物を計画した。建物は、敷地の形に沿った台形とし、それを反転させた台形の中庭をくり抜くことで、回遊性のあるプランとし、どの部屋にも十分な採光や通風を確保している。敷地いっぱいに残った地面に敷き詰めた割栗石は、水道水を地下水だけでまかなう市内にあって、できるだけ多くの雨水を浸透して地下水に還元することも意図している。

photo:Kanta Ushio


柔光の家

設計:宇佐見寛/アトリエルクス
施工:アート企画

DATA

所在地:愛知県一宮市
家族構成:夫婦+子ども3人
敷地面積:517.36m2
建築面積:142.13m2
延床面積:144.07m2
構造・階数:鉄筋コンクリート+木造、地上2階
完成:2014年3月
主な設備:エコジョーズ、ガス温水床暖房

リビング・ダイニングなどのパブリックな空間を集約した1 階は全面がガラス張り。その外側に1 枚のカーテンを回すことで、視線や日射を制御しつつ、街に開かれた住まいとしている。一方、寝室や子ども部屋などがある2 階は、外周をすっぽりと壁で包み、半間ほど内側に設けたサッシとの間にある中間領域やトップライトから光や風を採り入れる。柔らかな光に包まれた風通しのよい住まいを要望した建て主に、対照的な空間構成で応えている。

審査講評

空間の組み立て方としては面白いものがある。周囲の街並みに開くという発想も好感が持てる。プライバシーとパブリックとを明確に分けた住空間を、建て主がとても気に入っており、暮らしを楽しんでいる様子が印象深かった。

photo:ナカサアンドパートナーズ


OH ! house/陽街のコートハウス

設計:東海林健/東海林健建築設計事務所
施工:涌井建設工業

審査講評

建物を二重の壁で囲ったことによる中間領域が、隣家が近い環境であっても、窓を開け放って過ごせる快適な住空間を可能にしている。この中間領域はまた、近隣との距離の取り方や、街並み形成といったテーマを解決するものでもあり、興味深い提案と言える。

DATA

所在地:新潟市中央区
家族構成:夫婦+子ども2人
敷地面積:141.95m2
建築面積:84.20m2
延床面積:101.82m2
構造・階数:木造、地上2階
完成:2013年11月
主な設備:エコジョーズ、浴室暖房乾燥機、 温水ラジエーター、温水ファンコンベクタ

新潟市郊外に、造成されたばかりの住宅地に建つ4 人家族の2 階建て住宅。帽子を被せるように、壁と屋根で建物を覆い、その内側にもう1 枚の壁を設けている。内外の壁の間にできた軒下空間は、樹木を植えて庭としてしつらえたが、それと同時に、雨や雪をしのぎ、日射や内外の視線を制御するバッファスペースとしての機能も持たせている。道路沿いに壁を立てずに開放してベンチを置き、画一的な家が並ぶ新興住宅地に彩りを添えている。

photo:佐武浩一


バスキッチンの家

設計:鹿内健/鹿内健建築事務所 一級建築士事務所
施工:伸栄

築40 年超の民間分譲マンションの1 住戸を購入し、全面改修した事例。2DK だった40m2の住戸を、バルコニー側にキッチンや浴室があり、引き戸で開閉できるワンルーム空間にした。小さいながらも、幼い子どものいる家族が密に過ごせる住まいをつくっている。大都市近郊で増え続ける低価格の中古マンションを、家族のライフステージに合わせて10 年程度使うならば、長期の住宅ローンをせず、また賃貸住宅と同等の負担で自宅を所有できると提案する。

審査講評

今後、郊外で増えるだろうマンションストックは、低価格でも買い手がつきにくい可能性が指摘されている。それらを、ライフステージに応じて柔軟に使えば、資産の流動化を促し、しかも小さな負担で自宅を持てるという提案には興味深いものがある。

DATA

所在地:千葉県船橋市
家族構成:夫婦+子ども2人
住戸面積:41.01m2
構造・鉄骨鉄筋コンクリート造、地上11階建ての8 階
改修年月:2012年11月(当初完成:1971 年)

photo:鳥村鋼一


木箱・久我山 71/100

設計:葛西潔/葛西潔建築設計事務所
施工:木箱組

審査講評

建築家が、自ら考案して構法をシリーズ化して、これほど件数を重ねているだけでも驚きだが、部材調達から施工までやっている点にはさらに感心する。狭小住宅でも、内部が開放的な住空間をつくることができる。このテイストが好きな生活者にはとても快適な住宅だろう。

DATA

所在地:東京都杉並区
家族構成:夫婦+子ども1人
敷地面積:56.70m2
建築面積:42.38m2
延床面積:86.91m2
構造・階数:木造、地上2階
完成:2013年3月
主な設備:エコジョーズ、浴室暖房乾燥機

設計者が考案した「木箱212 構法」による71 件目の住宅。2×12 材で柱梁を組む門型フレームを並べてトンネル状の躯体を築くので、内部は自由にプランニングできる。この住宅の場合は、天井裏収納を挟んだスキップフロアとしている。間口方向は全面的に開放でき、奥行方向の壁面は部材寸法を生かした収納として使える。この構法は、設計者が自ら木材の調達や施工も手掛ける一貫供給体制を特長とし、工期短縮とコストダウン、品質の確保を実現している。

photo:しま よういちろう
photo:葛西潔建築設計事務所


ウィンドウを閉じる