2013 入賞

岡上の家(増築)

設計:杉浦 伝宗/アーツ& クラフツ建築研究所
施工:渡辺健建設事務所

東京近郊の急斜面に建つ建築家の自邸。30数年前の新築以来、2回目となる今回の増築では、離れとしてアトリエを建てた。新築時に植えた苗木が、建物を覆うほどに育った落葉樹が、夏は日射を遮り、冬は日差しを採り入れる。ライフステージの変化とともに成長した住宅と自然とが融合した姿を見せる。

審査講評

この住宅には老朽化という言葉は当てはまらない。建物の断熱性などは高くないが、樹木など外部と一体の住環境が形成されており、いまが最もよくなっている。これからの住宅のあり方を示す模範と言える。

DATA

所在地:川崎市麻生区
家族構成:夫婦
敷地面積:384.94 m2
建築面積:128.77 m2
延床面積:173.88 m2
構造・階数:木造・一部RC 造、地上2 階
増築時期:2012 年5 月
(第2期、当初完成1979年、第1期増築1995年)

Photo:杉浦 伝宗


緑のカーテンの家 ~ FILLET ~

設計:熊木 英雄/熊木英雄建築事務所
施工:コラム

DATA

所在地:埼玉県戸田市
家族構成:夫婦+子ども1 人
敷地面積:600.00 m2
建築面積:120.00 m2
延床面積:130.77 m2
構造・階数:S 造、地上1 階
完成:2011 年9 月
主な設備:エコジョーズ、ガス温水床暖房

東京近郊の住宅地に建つ建築家の自邸。隣接する建物との間に一定の距離を確保し、敷地内を抜ける風道に合わせて平屋の建物を配置。風を呼び込みやすいように、建物の平面形をカーブさせている。夏には、庭に面したファサードに沿って、ゴーヤなどのグリーンスクリーンを育て、熱負荷の低減を図っている。

審査講評

グリーンスクリーンの効果で、確かに夏は涼しいだろう。その効果を検証するために、温度のモニタリングを続けている姿勢も評価したい。カーブした建物内部は、暮らしを楽しくするような雰囲気を持っている。

Photo:蝦名 まゆこ


ISANA

設計:西久保 毅人/ニコ設計室
施工:山縣建設

DATA

所在地:東京都武蔵野市
家族構成:夫婦+子ども3人(オーナー住居)、
1 ~ 2 人(賃貸住戸)
敷地面積:170.64 m2
建築面積:96.25 m2
延床面積:217.28 m2
住戸数(面積):オーナー住戸1 戸(69.06 m2)、
賃貸住戸6 戸(20.54 ~ 29.78 m2
構造・階数:木造・一部RC 造、地上3 階
完成:2011 年3 月
主な設備:エコジョーズ、ガス温水床暖房

オーナーの故郷インドの家づくりに倣って、自宅の新築と同時に複数の貸し室を併設したプロジェクト。各住戸が、地面や街との連続性を持って生活できるように長屋形式とした。内側の暮らしを守りつつも、オープンなベンチを設置するなどして、街なかの路地のような空間を創出している。

審査講評

オーナー住居と賃貸住戸との境界を設けず、路地を共有して暮らす長屋のような計画になっている。賃貸住宅を単なる事業にするのではなく、オーナーも関与してコミュニティーをつくっていこうという姿勢を評価したい。

Photo:西久保 毅人


花内屋リノベーション

設計:吉村 理/吉村理建築設計事務所
施工:仲山工務店

歴史的な街並みの続く一角に建つ築180年の住宅の一部を改修。過去の増改築で使われていた新建材の壁・天井などを剥がし、極力、当初の姿に戻した。新たな壁などは、将来の撤去も容易なように設置。通り庭からの通風や、土を使った断熱など、自然エネルギー主体の環境が考えられている。

審査講評

耐震補強を兼ねた家具など、古い軸組みを将来まで残していく計画に、 かなり誠実に取り組んでいる。既存躯体に、新しい機能を入れ子状に加える手法は散見されるが、このプロ ジェクトは非常にうまくいっている。

DATA

所在地:奈良県御所市
家族構成:夫婦+子ども31 人
敷地面積:634.50 m2
建築面積:634.50 m2
延床面積:531.10 m2
構造・階数:木造、地上2 階
改修時期:2011 年7 月(当初完成1830 年)

Photo:川元 斉


庭の住処

設計:川本 敦史+川本 まゆみ/エムエースタイル建築計画
施工:マブチ工業

DATA

所在地:浜松市南区
家族構成:夫婦
敷地面積:392.73 m2
建築面積:91.09 m2
延床面積:91.09 m2
構造・階数:木造、地上1 階
増築時期:2010 年12 月

母屋の庭に増築された若夫婦の住宅。既存の庭の姿や意味を残しながら、住宅を添える形で増築している。各機能を持つ箱を分散配置して大屋根を架けた構成で、引き込み式の建具を開け放つと、住空間が庭の一部となって溶け込む。閉じたときも庭との一体感や自然光が感じられる建具としている。

審査講評

既存の母屋や庭を引き立てるような増築計画のストーリーがきれいにまとまっている。分節した箱に大屋根を架け、内外の関係をつくる手法は決して新しくないが、心地よい日本的な空間が創出されている。

Photo:中村 絵


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